Ich verstehe nicht.

冷静と情熱の間を表現できないアラサー

俺のユーロは返ってくるのか。-第二話-

前回のあらすじ

突如、何者かに約1200ユーロの差し押さえを受けた富井。
その「第三者」が誰なのかを突き止める事にした。 

 

色々と記憶を呼び起こし、

差し押さえ対象になるような事をしたか

一生懸命思い出したが全く思い出せない。

ラーメン作りすぎてIHコンロの電気代の未払い請求が来たか・・・

はたまた契約したエロサイトの課金が膨らんだか、

いやいや、あれは年間ポッキリ契約だったはずだ・・・

 

とりあえず調べないことには始まらない。

「まずは税理士か銀行に問い合わせてみてください」

逸る気持ちを抑え、まずは、アドバイスを受けたドイツの税理士にメールで連絡。

会社のパソコンからメールを打った。

ドイツ時代のメールを保存しているフォルダから

税理士とやりとりをしていたメールを見つけ返信ボタンを押す。

それからメアドだけ残して今までのやりとりのメールを消す。

これが一番手っ取り早い。

 

早速文章を書いて送信ボタンを押す。

朝9時半。午後二時にドイツは朝を迎えるから返事が来るはずだ。

無事にメールが送れてなんだか解決した気になりつつ

現場仕事へ向かう。

 

仕事中も頭の片隅では「なんで1200ユーロを差し押さえられたのか」を

一生懸命考えたが何も思いつかない。

思いつくのは次にどうするかばかりだ。

何度も何度も会社のipadで返事が来ないか確認したが

待っている時こそ必要なものは来ないものだ。

 

そうこうしているうちに夕方5時になり、事務所へ戻ってきた。

ipadで確認して来ていないメールがパソコンに来ている訳がない。

チラチラメールを確認しながらもしなければ行けない仕事をこなす。

 

ここで大変な事に気づく。

 

「そうだ、俺がメールを送ったのはドイツだ。

 いくら相手が日本人でも返事なんか直ぐに返ってくるわけが無い。

 ドイツに二年も住んでいてなぜそれに気付かなかった!!!」

 

ドイツはなんともスローな国でメールを送っても3日は返ってこないと思っていい。

たとえそれが急いでいても夕方五時になれば店じまい。

五時までに処理できないメールは翌日だ。

担当者が休みなら返事がいつ返ってくるかなんてわかったもんじゃない。

 

そこから税理士からメールを今日中に受け取るのは諦め、

まずは銀行に電話して問い合わせて見ようと思った。

ここもラッキーな事に日本デスクを設けている銀行だ。

会社から恐る恐る国際電話をかけた。

管理に何か言われたら「前の職場でトラブルが・・・」くらいに言っておけば

怒られないだろう。

机から銀行員の名刺を取り出し電話をした

 

プルルルルプルルルルプルルルル ガチャ

銀「はい、××です・・・」

富「あのっ・・・わたく」

   銀「ただいま席を外しております。」

 

留守電だ。

その銀行は担当者ごとに電話番号が割り振られている。

自分が会ったことあるのは四人のうち二人。

もう一人にも電話。こちらも留守電。

 

半ば諦めかけていたがもう一度最初の人にかけてみようと

電話をしてみたが留守電・・・

諦めかけたがよく考えたらこれは留守電。

折り返し電話をかけてもらえばいい。

自分の携帯番号と内容を吹き込み受話器を置いた。

これも今日中に電話がかかってくる事は期待せず家に帰った。

 

家に帰って妻と今日あった事を話しながら夜ご飯を食べていた。

携帯が鳴った。

寝耳に水、青天の霹靂、藪からスティック。

まさか電話がなるとは思わなかった。

何故か慎重に丁寧に、電話に出た。

 

つづく